土地の種類別に見る物納

貸宅地の底地物納



貸宅地とは、建物所有を目的とした賃借権が設定された土地で、地主が持つ底地権と、借地人が持つ借地権とで構成されています。
貸宅地の物納とは、その底地のみを物納することを指します。

底地は物権であるため、物納適格財産となりえるのです。




貸宅地となる土地は、国により「借地権割合」が定められています。
一般的には住宅地で60~70%、商業地では70~90%となっており、借地権割合が60%の土地であれば、相続税評価額の40%分の納税をすることができます。

 

貸家建付地の底地物納

貸家建付地とは、自分の土地にアパート、マンションや貸ビルを建てて、賃借人が使用する賃貸を目的とした建物が建っている土地のことをいいます。
貸家建付地の底地部を物納する場合は、地主が国となり、納税者が借地人となります。
固定資産税は底地に課されるため、物納後は固定資産税が減免されます。
地代(相続税評価額の2.5%)は借地人(納税者)が国に支払いますが、賃借人が支払う家賃収入は借地人(納税者)が全額受け取ることになります。
条件が合えば資産が増える可能性もあるのです。


貸宅地と同様、借地権割合が60%の土地であれば、
相続税評価額の40%分の納税をすることができます。


 

推奨できる物件例
・駅から徒歩10分以内に所在
・入居率85%以上、空室率15%として収支計算
・賃貸収入額=固定資産税+都市計画税の8倍以上
・賃貸利回り6.0%以上
・築20年以内(30年経過後は改築を考慮する為)

 

 

駐車場の物納

 

駐車場の物納の場合、一般的には、賃貸契約をすべて解除し、更地として物納しますが、駐車場経営を継続しつつ物納できるケースもあります。

 

 

 

相続開始後に相続人全員で駐車場管理運営を
目的とした同族法人を設立。

 

 

 

駐車場継続使用の嘆願書を上申し、2.5%の
賃借権を控除した97.5%の相続税評価額を更正。

 

 

さらに物納物件収納後、国と「国有財産有償貸付
契約書」を締結し、国有地の賃借であるというこ
とにより、固定資産税が免除されます。

 

 

物納により納税を完了させた後も、駐車場経営を継続することができました。

時期を見て当該地を買い戻すことも考えられるのです。

 

 

 

(参考)財務省の管理規定
    物納等不動産に関する事務取扱要綱について(平成18年6月29日 財理第2640号)

第7 物納等不動産の管理事務

 1 権利付不動産の取扱い
   国は、権利付き不動産について、納税者である前所有者(以下「前主」という)の貸し主としての地位を承継するので、前主及び権利者が締結している契約の始期、期間、賃貸料の額、特約条項等の契約条件を確認の上、税務署より引受後直ちに、当該権利者に対し次の措置を執るものとする。

(1)(2)略

(3)駐車場の管理の取り扱い
申請不動産が駐車場として利用されている場合(賃貸借契約が締結されている場合を除く)、収納後当該不動産を処分するまでの間において暫定活用を図ることが可能であることから、原則として、その利用されている状態で収納するものとする。収納後においては、処分する時期を考慮して、貸付の相手方(管理者)を一般競争入札により選定して暫定活用を継続するものとする。

 (注)物納申請者が不動産業者用に管理業務を委託している場合には、
    一般競争入札により貸付の相手方を選定するまでの間は、従前
    の受託者と随意契約によることにして差し支えない。
    なお、随意契約等にあたっては、後記(6)に留意すること。

以下略