納税方法の種類と選択

相続税は、基本的に「現金で一括納付する」ことが原則となっています。納付期限である相続発生日から10ヶ月後までに、金銭納付をしなければいけません。
ただし、支払が困難な場合は、特例として「延納」、あるいは例外的な納税方法として「物納」が、条件付きで認められています。

 



金銭納付は負担が大きい

◆現金が必要なのは相続税だけではない

相続登記費用、申告書作成費用、申告代理報酬、測量代…現金の使い道は、多種多様に存在します。

 

 

 

◆納税義務者も高齢者・年金受給者

今や被相続人90歳は当たり前。国が控除を認める必要最低限の生活費は、納税者が月10万円、家族は月4万5千円。生活保護費の水準以下の生活費を強要されて納税後の生活がスタートすることになります。

 

 

 

◆兄弟は他人の始まり?

兄弟姉妹で相続する際、長男長女は不動産(負動産)、次男次女は現金を求めることも多い。預貯金を金納に充ててしまうことで、分割協議がまとまらない可能性もある





金銭納付した後の先行きは不透明に…
お金は最後の砦です。自分のために使いましょう。



延納の選択は相続破綻へ

延納では相続税を分割して支払うことができ、最高20年まで支払い期限を延長することができます。ただし、延納した相続税額分には、利子税がかかります。


 

 

 

 

 

◆延納の利子税は0.8%(H30年)

銀行の融資はおよそ1.1%程度であるため、納税資金を銀行の融資に頼る必要はなくなりました。しかし、0.8%といえど利子。借金していることに変わりはないのです。


◆「たら・れば」が前提

延納は「土地が売れたら」「家賃が入れば」といった「たら・れば」を前提に選択されるため、社会の激変に対処しきれません。少子高齢化により郊外の土地価格は下落。 賃貸収入においても建物は劣化し空き家は増加傾向。相続放棄により空き家となった戸建てが、現状はおよそ800万戸となっています。


◆税務署は特例物納を勧める

延納が困難になった場合、申告期限から10年以内に限り、物納への変更が認められますが、延納資金に充当するために売れるものは全て売り尽くすこととなります。売れ残った物件は物納要件を満たすことができない可能性も。特例物納はつじつま合わせに過ぎないのです。

 


延納は問題の先送り。次世代が尻ぬぐいをすることになります。

 

売却して納税資金を調達する時代は終わった

以前は、現金がなくて納税が出来ないときは、相続した家や土地、マンションなどの不動産を売却したお金で相続税を納めることが一般的でした。市場価格が高く、速やかに売却できる場合はそれも可能ですが…

 

 

 

 

 

◆郊外の土地は特に売りにくい

少子高齢化に伴う都心回帰などにより、都心と郊外の資産格差は広がる一方です。駅から徒歩10分以上離れた土地の市場価格は特に下落基調にあり、売却が難しい時代になりました。


◆仲介業者に安く買いたたかれることも

相続の際は10か月以内に決済し納税しないと滞納税が発生します。急いで売却して納税しなければという焦りが出て、仲介業者の圧力に負け、安い価格で仕方なく売却してしまうという事例も少なくありません。


◆納税資金に充てるつもりが赤字になる

その結果、仲介手数料や諸費用、譲渡所得税や復興税を差し引いた残りを納税資金に充てることとなり、赤字になってしまうことも多々あるのです。
それらの税は翌年の確定申告時に表面化するので、特に注意が必要です。






少子高齢化に伴う都心回帰などにより、都心と郊外の資産格差は広がる一方。
不動産の時価(市場価格)は下落基調にあります。
土地を売却して納税資金を調達する時代が終わったといっても
過言ではありません。

 

当社では最も明確で合理的な納税方法として物納をおすすめしています。

詳しくは →「ご存じですか?物納制度」